名声を得、そして私は

国を統べる者となるという事はそうと容易い事ではないのだ、 頬杖をつきながら人事の様にぼんやりと思った。
何故私がこのような立場に居るのだと、それが何かの思し召しだの生まれながらだの言う輩は山ほど居るが
自分以外の意思でここまで来たのだと、そうなるべく運命だったのだと、後に世に伝えられるなどとは
世に名だけ残して、伝説のように扱われるのだろうか そのような偶像を、そのような絵物語








綺麗事を…








まったく、考えたくもない






他人の、自身の自由の身の上が欲しかった、

私と言う存在が彼らの戒めとならぬ、自由への頸木とならざる方法を






人を盾として人を守る方法すら知らなかった少年も

「皆」が幸福になれると信じた少年も

ただひたすらに自由を欲した少年も




もうどこにも居ない








アビス  ピオニー独白