誰かに見られている気がする

ヴァーチャルと現実の境目が判らなくなってしまうわけがない

俺は他大勢の奴等とは違う、実戦を潜り抜けた事のあるのだから、


このような訓練をいくらしようと、あの圧迫感が俺に迫ってくるわけがない


そうだ、そんなわけがないんだ









だがこの圧迫と戦慄と恐怖と畏怖と憎悪とはどうだ











ヴァーチャルで構成された世界の中で何か突然視線を感じた。




誰かに見られている気がする





ただ、それだけなのだが、大きな違和感に悪寒が走った。



敵が居るわけでは無い、此処は無人で、そして俺が操作しない限り敵が出てくるわけが無い
そうだ、あの紛い物の敵など出てくるわけが無い そう「プログラム」したのだ。
そうだ、俺が作り上げた虚像の世界だ、何かから逃げ込む時の為だけに、俺がリアルから逃げ込む時の為だけに作り出した、そういう「プログラム」だ、訓練用の「プログラム」は別にある

では何故「あいつ」の目線を感じる。何故俺は「監視」されている。俺は「逃げて」ここにいるはずなのに
「逃げ」切れていない?俺はまさか、「彼」から「逃げ」れてなどいないというのか
そうだ「逃げる」など出来るわけがことが、「彼」はいつも俺を見ていた、そうだいつもいつもいつもいつも


点と線が結ばらないまま頭に引っかかる、どうしても「彼」が何なのか
この恐怖を与えているのが誰なのか、そもそもこの「恐怖」が何なのか



そもそも俺はいつそんな「監視」を受けた





…戦慄の中で意味が不明な言葉の羅列が独り言のように頭の中を流れた。
睡眠学習機能による「覚えようとして覚えた」わけではない「知識」を「使う」時の様な奇妙な感覚を


この状況を打破するためにどう切り抜けるかと物事を算出してる場合ではなかった 早く視線の正体を探し出さねばならない




だがしかし確かに根底に存在する「視線」に固まりきったヴァーチャルの自分にどうする事も出来ない
そうだ頭で考えるだけでいい、そうすれば俺はここで後ろを振り返り腕を上げブレードをその視線に向ける事が出来るはずなのだ の、はずなのだ 本体が反応しないまるで ヴァーチャルに存在する俺が本体から切り離されコントロールを失ったように反応がしない そうまるで人形のように

俺の腕が 目が 足が    俺の意思とは離れて   やめて、やめろ、やめろ



操らないでくれ、やめろ、これ以上、やめろ   俺は違うそんな 違う




「ウァアアアアアアアアアアアアあわああぁあああああああああああああ!!!!」










「どうした!?」


「あ…」

VRのシートで気を失っていたらしい自分は
汗と頭痛でじっとりどっしりとしたヘルメット状のそれを取ろうともがく


「あまり、無理をするんじゃない、根を詰めるのも対外にしろ!」

手がもたついてるその様を見てうっとうしいのだろう、ひっぺがされた
視界が暗転する。リアルの光が差し込むと同時に大きな手が俺の目の前でふられた

「大丈夫か?」

焦点の合わない目がその手の向こうを追った

「……スネー……ク……」

息がひどく上がっていた、脂汗が額から顎に落ちる

「大丈夫か? お前は実戦訓練だって十分だろうに何故そんなにVRを続けて…」

お決まりのお説教が始まった、幾ら周到なプログラムとは言えど実戦で戦うのとVRは全く別物だと
大きな戦いを何度も掻い潜ってきた人物だ、やはりVRなど子供だましに見えるのだろうが…

だが彼の声を聞いているうちに安堵した、なぜだろう昔聞いたことのあるような、何故か昔に

もし「父親」が居たのなら「そうきっと彼のような声をしていた」のだろうと 俺には親など居ないが




雷電?」



「あ、ああ大丈夫だ…」

半分も耳には入っていなかったが返事をしなかった為に心配されたようなので答える。
今は大丈夫でもさっきは本当に大丈夫ではなかった、何度か、経験のある。
視線を感じる、自分以外の視線を。そして第三者の目で自分が見渡せるのだ

誰かに操られている自分を その誰かの目線で


頭で分かっているのに右手が上がらなかった、無理なんだ、どうする事も出来ない、










「この人」には「逆らえない」そう「プログラム」されているのだから












「この人…?」




「おい、どうした?」






























今… 俺は…        なんと言った ?


























**
放り投げっぱなしですがmgs2VR訓練中の話みたいなのを書きたくて…
ソリダスに関する記憶が曖昧に頭を掠める様を書こうとしたんですがね 微妙に時間枠捻じ曲げ
VR訓練中にスネークがいたら。みたいな。まああるような無いような話で。サブスタンスならどうにか
VR訓練も勝手にこんなんならいいなーみたいな。ヘッド装着型の機械とかが大好きなんですよね
身体にナノとかはいってるんだからもっとハイテクな感じだとは思うんですが…アハハハ
「誰かに見られているような気がする」は3のライコフの台詞から取らせて頂きました

ソリダスとビックボスの間に血縁関係がある、そしてビックボスのまあコピーであるスネークの中にソリダスを見出してしまった雷電、というのがあってもいいかな、と。
雷電にとってソリダスは父親であったが全く父親として見ていた事は無かったと思う、
だがしかし彼は幼心にきっと自分を保護し、教育し、そして一番距離の近い一回りも上のソリダスに
肉親のような優しさを頭の中では求めたに違いない、よって記憶が曖昧なこの期間にもし父親の像を考えるのならばそれはきっとソリダスのイメージによる「理想の父親像」になるのではないかと。

ED前の雷電はソリダスがブロックワードなんですよね 全ての自分の過去の謎が彼に関与する
彼が忘れたかったのか、それとも彼は忘れさせられたのか まあごちゃごちゃとやっぱり放りっぱなし