「めんどうなんだ」


どこともなくそんな言葉が後から出た


「だから俺なんだろ」


知ってる


『違うよ』


否定される事が前提


「嘘」


確認したいだけ


『お前だからだよ』


愛されて居る事を


「俺は…別に…」


だからそんな言葉を吐くんだ



「そんな風に思ってないのに?」


だからそんな言葉を吐くんだ


『そうさ、それでも俺はお前の事愛してるよ、』



その肉親の情の様な変わらない眼差しを見て


「知っているよ、お前はいつも女にそう言ってる」


毒を吐いて安堵する。


『そうつれなくするな』


彼は両手を広げて俺の居場所を、帰るべき居場所を


恋だの愛だのそんなものではなくいつでも俺が戻ってこれる居場所を



彼が求めているのはその本当の居場所になりうるそこに帰ってくる俺で


でも


俺が彼に求めているのは恋だの愛だの嘯くの宿り木の様な嘘なのだ




求めている物は最初から手に入りもしないのに


そして傷つくたびに居場所をみつけて安堵している、

俺を待ってくれている彼をみつけて安堵している

なんて俺は自分勝手な


なんて自分勝手な




「……」


『どうしたいきなりしおらしくなって』







何故ここではないのだろうか






「…ごめん」






消え入るような声で言った






ごめん




多分、俺は もうここには





もう どこにも




もう 戻れない




神様、彼に、どうか、どうか幸福を どうか